論理的に考える力 その2

前回のコラムで、論理思考について書きました。
今回はその続きを書きたいと思います。

論理思考を超えて、ということで論理思考を大事にしつつも、もっと広い視野の直感やインスピレーションを大事にしていく話を前回書きました。
でも私自身、論理思考を否定していた時期もありました。

元々、論理思考は私にとって得意分野であったのですが、意識や精神のことを学ぶ中で思考によってエネルギーの流れに乗りづらくなるポイント・思考のくせを学ぶうちに、否定するようになってしまいました。

セミナーでもよくお話しする話ですが、思考は様々な感情や欲求、例えば大きいもので言うと生存欲求や承認欲求と深く結びつきがちです。
生き残りたい、と思い、生き残れるように考える。
また生存するためには周りの人に認められなければ、ということで、認められたい、認められるためにはどうすればいいか、と考える。
無意識的にそうした方向に考えが行きがちなのです。

思考によって出てきた結論は、そうした欲求ゆえに、的外れなものになることもあります。

そうしたくせのある思考と、光のようにやってくる直感やインスピレーションをどう統合して見ていったらいいか分からず、思考を否定するようになっていました。

ですが、何かを否定していてそのまま、ということは大概ありません。
いずれ向き合う時期がやってきます。
ということで、私にもやってきました。
思考とは何か、思考は自分にとってどんなものか、私は思考や論理についてどういう気持ち・感情を抱いているか・・・。

あれこれ向き合い、見つけ出した今のところの考えが次のようなものです。

前回、「空・雨・傘」の話を書きました。
空が曇っている→雨が降りそうだ→傘を持って行こう
という、論理展開、論理思考の例です。

この話で行けば、空が曇っているのを見た時、傘を持って行こうということになります。
それは論理から来る行動なのですが・・。

空が曇っているのを見た、そして雨が降りそうだと思った。
そこまではOKです。
だから、傘を持って行こう、と「思った」。そういう“アイデア”を持った。

だからと言って、必ずしも「思った通り」「アイデア通り」行動しなくてもいいはずです。
ここで一度止まってみる。

さて、空は曇っていて、雨は降りそうな感じだ。思考からすると、傘を持って行く“べき”という考えが出ている。
「で、自分はどうしたい?」

思考とそこから来る行動の“アイデア”は認識した上で、自分に問いかけてみる。
自分に振り返ってみる。

すると、傘を持って行きたい、という時もあれば、あれ、傘を持って行く感じじゃないなあ、と直感的に感じることもあります。
そうして感じた直感は大体何かサインだったり、その時頭で考えても気づかないポイントを教えてくれていたりします。
傘を持って行かない直感ならば、それで何か巡り合わせがあったり、不要なトラブルを避けられたりするような・・。

そんな訳で、状況を認識して、考えるのも大事。そして直感も大事にできるスタンスへと変わっていきました。
そうしてみると、状況を認識せず、考えもせずで受け取る直感と、状況を認識・考えた上での直感は違う、ということも段々感じ始めたのです。

思考は頭の中で展開して流れます。
その流れがある中で、一瞬「止まる」。
この「止まる」ことがもたらしてくれる隙間は、私にとても大事なことを教えてくれました。

2017年5月9日 水野 洋一郎