素直に書くと、意外と書けるもの

「書く」ということで言うと、本の他に、これまで提案書や企画書なども作ってきました。
コンサルティングのお客様への提案書も、仕事を通じて数多く作りました。
ですが、最初から書けた訳ではありません。

東京でコンサルティング会社に就職し、お客様を担当させてもらうと、毎週提案があります。
プロジェクトにもよりますが、3ヶ月程度の期間で大きなテーマがあり、それを細分化した小テーマの検討・提案が前もって週ごとにスケジュールされています。
それを3人程度のチームメンバーで実施します。
立てられたスケジュールに沿って、データを分析したり、ヒアリングした上で、提案を作っていきます。

データを収集した上で、「書く」ことになるのですが、最初はさっぱり書けませんでした。
どうしていいかも分からない。
でも、数カ月~半年経験を積み、気付いたことがありました。

コンサルタントだから、すごいことを言わないといけない。それだけのお金も頂いている。
だから…。という思考が自分の中にありました。
すると、すごいことを言おう、書こう、ということになります。

でも、それだとなかなか書けないのです。
そこで、自分がデータを見て素直に思ったこと、その思ったことから自然に展開される考え・内容をそのまま書いてみよう、そんなことを思いました。

元々、思ったことはあれこれ紙に書いていたのです。メモ、ノートのような感じです。
でも、提案書は、きっちりしないといけない。
そこで改まってしまい、提案書を書く段階になると、すごいことを書こう、となっていました。

それを少しやめ、自分が紙に書いていた素直に思ったことを単にまとめて提案書にしたらいいのでは、と思い、やってみたら、これがうまくいきました。
以降、提案書を書くことがスムーズになっていきました。

すごいことを言おうとか、きれいに書こう、と思うと、どこか緊張します。
そして、自分が自然に思ったり感じたりしていることから、変に飛躍して、すごくしよう、きれいにしようとしてしまう。
そこに無理があったのかもしれない、と思いました。

もっと素直に、思ったことを、感じたことをそのまま書いてみる。
そうしてたくさん書いてみたものをまとめあげれば、結構良いものになるものです。
というか、それがベストと思っています。

提案書等の場合、内容をまとめあげるのにはその技術、つまり情報を整理整頓するコツがありますが、これは理論・やり方を学んで、ある程度練習すれば大体何とかなっていくものです。
別のボリュームが少ないものなら、特に技術を知らなくても、そのまままとめていくことも可能でしょう。

そうして素直に思ったことを書いてきて改めて見ると、人間、そんな変なことは考えない、と思います。
大体、的を得ています。
だから、それをまとめて、展開すれば、良い提案書になる。

せっかく的を得たものを自然に思ったり感じているのに、すごくしよう、きれいにしようという考え・気持ちがあることで、書けなくなったり、的を得ない内容になってしまうことがあります。

すごくしよう、きれいにしよう、は他人の視線を気にしているからでしょうか。
他人の視線の上で自分がどう映っているか、という自分自身のことを気にしているのかもしれません。

そのあたりを少し自分で見てみて軽くなると、物を書く手も軽く動いてくれると思っています。

2017年5月27日 水野 洋一郎