紅茶との出会い ~イギリスの田舎町にて~

紅茶好きが高じて、セミナーと紅茶・洋菓子を楽しむ時間を合わせた「紅茶を楽しむ会」を開催したり、書籍「モネの紅茶」を執筆・出版したりしてきました。
では、元々そんなに紅茶が好きだったか、というとそうでもないのです。

高校を出るまで実家で暮らしていましたが、朝食に紅茶を飲むことが度々ありました。
でも、そんなに特に好きで、という訳でもなく、通常の朝の飲み物の一つ、ぐらいのものでした。

大学に入り東京に出て、一人暮らしを始めます。
大学二年の春に、ヨーロッパ、フランス・パリとイギリスを一人で旅行しました。

そのイギリスでのことです。
ロンドンを観光した後、オプショナルツアーでイギリスの田舎町、コッツウォルズ地方へ行きました。
そのツアーに、田舎町のカフェでの紅茶とスコーンのセットが付いていたのです。
田舎町を街歩きした後、付いていたセットを食べにカフェに入りました。
ツアーの他の参加者の人たちも数人いました。

そこで飲んだ紅茶が、とてもおいしかったのです。
当時の説明では、イギリスの水と紅茶の相性が良いから、ということでしたが、旅行先の雰囲気と気分も相まって、とてもおいしい。
そしてスコーン。
まだ大学二年生だったこともあり、スコーンと言えばスターバックスのアメリカンスコーンしか知りませんでした。
初めてイギリスのスコーンを二つに割って、ジャムとクリームを塗り、それも最初はよく分からなかったので、隣の同じツアーの人の様子も見てまねたのを思い出します。
初めての体験だったこともあり、スコーンのその味・おいしさと共に、とても印象に残りました。

イギリスから紅茶をお土産に買って帰り、日本で飲むと…水との相性か、旅行で気分が高揚していたからか、イギリスで飲んだ時ほどの感動はありませんでしたが、それから先私が紅茶に注目する大きなきっかけになりました。

その後、先ほどの「紅茶を楽しむ会」や「モネの紅茶」の執筆などをすることになりますが、まさかそのイギリス旅行の時の体験がつながっていくなんて…旅行に行く当時の自分が知ったら驚くかもしれません。

こうしたふとした体験が、その後大きくつながっていくことは、私自身他にもあります。
これをご縁と言うのでしょうか。
でもそのご縁に育まれ、自分や自分の活動が豊かになっていくことはありがたいことです。

その体験をしている最中には分かりませんが、後になって、ああ、あれがきっかけだったな、と。
今日も一日、大切に生きていきたいと思います。

2017年4月16日 水野 洋一郎