他人の意見を参考にするコツ ~本でも、セミナーでも~

経営コンサルタントという仕事をしているので、お客様の事業について意見を言う機会は多くあります。というか、それが仕事です。
お客様からとってみれば、コンサルタントの意見、話を聞く、ということなのですが、私が思うに他の人の意見を聞く、というのは少々コツがいるのでは、と感じています。

他の人の意見を聞く、というのはセミナーに参加して講師の話を聞くのも、また他の人が書いた本を読む、というのもあります。
仕事柄もあり、私自身いろんなセミナーに参加したり、本を読んだりします。

その時に、以前話を聞いたり文章を読んで、分かった気になって、後でまた分からなくなる、ということがたまにありました。
分かった気になった時は気分はとても盛り上がるのですが・・・。

また、これは特に自分にとってすごい人、権威と感じている人の話・本の場合、その人の意見に染まってしまう、鵜呑みにする、ということもありました。

最近心がけているのは、話を聞いた後、本を読んだ後、「さて、自分はそのことについてどう思うか?」と問いかけ、自分の意見を見つめ直すことにしています。

他の人の意見は、あくまで他の人の意見。自分の意見は、自分の意見です。
他の人の意見はどこまでいっても参考に過ぎません。
他の人の意見で良い意見を採用して実行すればうまくいくのでは、というスタンスもあるかもしれませんが、実行していく過程の細かいところで大体迷ってしまうと思います。他人の意見を借りているだけなので。

ポイントは「他の人の意見を参考にさせてもらいながら、自分の意見を育てる」ことにあると今は思っています。
自分の意見をいかに育てるか、それは自分次第です。
その参考、栄養として他の人の意見を聞く、というスタンスも一つではないでしょうか。

特に、自分にとって新しい分野の本を読むと、「自分はどう思うか?」と問いかけると、ほとんど「分からない」となります。
でも、自分は「分からない」-この現在位置を知ることが、これからいっぱい栄養を受け取って育っていく原点になると思います。
そこで知ったかぶりをしたり、他人の意見なのにそれを自分の意見であるかのように思っていると、なかなか栄養が行き届かず育って行かない可能性があります。

「分からない」ということはあまり良くないことのように思われる風潮がある気がしますが、でも多分、大半のことは結局分からないんだと思います。
その中から少しでも自分の意見が育っていったら、めっけものではないでしょうか。

それは深く根を張り、伸び伸び育っていく気がします。

2017年1月20日 水野 洋一郎