経営も、自分の心も、現状確認から

前回、事業を見るフレームワークのことを書きましたが、これまでコンサルティングをするにあたって、まずお客さんの事業の現状を詳しく聞くことから始めてきました。
実は、この段階はとても重要で、事業の現状と、その事業を経営者やスタッフの方がどう思っているか、認識の現状をしっかり聞いて整理すれば、これから何をしていくか、そのポイントが見えてくることが多いです。
何をするかやみくもにアイデアを出すより、現状をしっかり認識できていれば、おのずから方向が決まることはよくあります。

自分の会社や事業のことだと、自分の毎日のことなので、改めて全体を一通り出して見つめ直す、ということをする人は少ないので、いい機会になります。
特に、第三者が入って、状況を聞いたり、数値的に把握することで、経営者やスタッフの方が思い込みも入りながら現状を捉えている場合も、本当の現状に沿った認識を持つことにつながります。
すると、“適切な現状の認識”が“次の適切な行動”につながっていきます。

この現状を確認するということ、自分の心を整える時も同じく大事だと思っています。
いろんな考えや気持ちが心の中に湧き出てきて心がざわざわしている時、無理に考えや気持ちを抑えるよりも、どんな考えや気持ちが心の中にあるか、それを確認することがポイントです。

考え・思考や気持ち・感情は、はっきりと認識・確認されると、離れていくという特徴があります。
「今、〇〇のことを考えている」「今、悲しみを感じている」「今、怒りを感じている」など、一つの文章の形で認識すると明確になりやすいと思います。

そして、「怒りを感じている」と認識したら、その背景に「昨日□□さんにしたことについて罪悪感を感じている」と出てくるかもしれません。別の感情や出来事が出元になっていることが見えてくることもあります。

一つ一つ丁寧に、今心にある考えや気持ちを確認してあげること。
考えや感情は見られないとどんどん大きくなったり心のざわつきになったりしますが、見てあげるとスムーズに離れていったり、小さくなります。

人も、考えや気持ちのエネルギーも、誰かに見てもらう(=確認される)ことがうれしいのかもしれません。

2016年12月16日 水野 洋一郎