2:8の法則の続き ~バランス感覚と昔の人の智慧~

しばらく前に、このコラムで2:8の法則について書きました。
80:20の法則とも呼ばれ、売上の80%は20%の従業員が生み出している、など物事が自然に2:8の比率になりやすい、という法則です。

コラムを書いてしばらくしてから、セミナーでこの2:8の法則の話をしていた時に、参加者の方から面白い話を聞きました。
2:8の法則はイタリアの経済学者のパレートという方が発見されたものですが、ユダヤ人の智慧で78:22の法則というものがある、という話です。
比率もかなり近いので、どういう関わりなんだろう、という話になりました。

このユダヤ人の智慧も、ある飲食チェーンでは、アルバイトと正社員の総労働時間の比率が78:22になるように調整し、するとバランスが良い、といった形で活用されているようです。
自然のバランスと調和がとれる、ということなのでしょうか。

また、テレビを見ている時に、NHKの歴史番組で興味深い話を聞きました。

江戸幕府の二代目将軍・徳川秀忠は、家臣の経験豊富な大名に様々な意見・智慧を聴く場を持っていたそうです。
その時に、「まつりごと(政治)はどのようにすればよいか」という問いを徳川秀忠が聞いたところ、家臣の大名でこう答えた人がいたそうです。
「四角い箱に、丸いふたをするようになされませ。」

四角い箱に、四角いふたをぴっちりすると、完璧なようだが、余白・遊びが無く、箱の中は息苦しくなってしまう。
四角い箱があって、ふたを何もしなければ、開けっ放しで、いわば無法地帯になってしまう。
四角い箱に丸いふたをするのが、丁度良いバランス、ということなのでしょう。

この時、四角の面積を1とすると(一辺が1です)、
丸いふたの面積は0.785、ふたがされていない余白の面積は0.215、
ほぼ78:22になります。

昔の人は、自然に調和するバランスを心得ていたのでしょうか。
もしかして・・と思い、四角と丸の面積を計算してみたのですが、この一致に驚きました。

頭で考えると、良い仕組みや制度を作ったら、それを全てに適用すればうまくいくだろう、と考えがちだと思います。
しかし、実際やってみると相手次第、状況次第でスムーズに行ったり行かなかったりするもの。
それを力任せに全てこの通りに、とやっているとギスギスしてしまいます。
かといって、反対されたらほったらかし、というのも違う。
まあ8割ぐらい、と思っていると心の余裕も生まれてきそうです。

そして、売上の8割が2割の商品から生まれている、というのも2:8の法則。
その2割の商品にしっかり注力することもポイントです。
その他の商品をおろそかにする、というのではありません。全商品があっての2割なので。
でも、ポイントを押さえて注力する、というのは大事なことのようです。

押さえるポイント2割をきっちり押さえて、全体の8割の広がりをカバー。
そんなバランス感覚は、自然の中にあるゆらぎや変化と調和し、流れに乗りやすいのではないかと思います。

2017年9月16日 水野 洋一郎